自己破産とは、債務整理手続の中で唯一、「借金を0円にできる」債務整理方法です。
借金を0円にする、借金返済を全て免除してくれるわけですから、裁判所は「本当に借金を0円にしてもいいのか?」と、借金をした側にとっては、これほどのメリットはありません。
自己破産は恥ずかしいことではなく、法律で認められた生活再建方法の1つです。
利息制限法以上の金利が設定されていて、年収の2倍を超える借金があると、
借金全額を返済するのは無理とも言われています。
借金返済のために、また借金をしてしまう…。そんな借金連鎖、悪循環に入ってしまう前に。自己破産も含めて、債務整理・借金整理を債務整理の専門家である弁護士に借金相談をしましょう。
自己破産という言葉を聞くと、「最後の手段」、「勤務先や家族に知られたら大変…」、「借りている部屋を追い出されるんじゃない?」等、色々な不安・疑問も出てくるでしょう。でも、安心してください。自己破産をしても、日常生活にはほとんど影響がありません。
自己破産をしても、勤務先や家族に知られることはありません。
(ただし、勤務先から借金をしている、自宅が家族と共有名義になっている等、
特別な事情がある場合は、自己破産を勤務先、家族に知られてしまう場合もあります)
あなたが思っているほど、自己破産は「恐い」制度ではないのです。自己破産をしても、今まで通りに生活できます。安心してください。自己破産を選択する時なのか、自己破産を選択した方が良い状況なのかを、債務整理の専門家である弁護士と、納得がいくまで借金相談をしましょう。
平成元年 | 9,190 | 11年 | 122,741 |
---|---|---|---|
2年 | 11,273 | 12年 | 139,281 |
3年 | 23,228 | 13年 | 160,457 |
4年 | 43,144 | 14年 | 223,561 |
5年 | 43,545 | 15年 | 242,377 |
6年 | 40,385 | 16年 | 211,402 |
7年 | 43,414 | 17年 | 184,422 |
8年 | 56,494 | 18年 | 155,917 |
9年 | 71,299 | 19年 | 148,252 |
10年 | 103,803 | 20年 | 129,508 |
自己破産件数は、平成15年がピークで、以降は減少傾向になっています。
自己破産申立件数が減少した理由として、個人再生が平成13年から施行された事、
平成14年から特定調停が施行された事が考えられます。
個人再生・特定調停が広まったことに加え、弁護士による任意整理が増えたことも一因と言えるでしょう。さらに過払い金返還請求が周知され、過払い金返還請求が相次いだことで自己破産を回避できる人が増えたことも、自己破産件数が減ったことと関係があるようです。
それでも、年間で10万人から20万人もの人が、自己破産しています。
厳しい経済状況の中、自己破産を選択する人がもっと増えていくかもしれません。
平成17年1月1日より、改正破産法が施行されました。これは、破産事件数が増加したため、破産手続を簡素化してすみやかに破産手続を勧める事がねらいとなっています。
自己破産に関係する、改正破産法のポイントは以下の通りです。
破産申立後の強制執行等の中止命令・免責手続中の個別執行禁止
破産を裁判所へ申し立てた後は、裁判所から強制執行等の中止命令・包括的禁止命令を出してもらうことができるようになりました。
さらに、免責手続中は、強制執行、仮差押、仮処分等及び国税滞納処分は禁止されました。また、既に強制執行等の手続が始まっている場合でも、強制執行等の手続は中止します。これら強制執行等の手続は、免責決定の確定によって効力を失うものとされました。
自由財産の範囲が拡張された
破産者が保有する自由財産(破産財団に入らない破産者の財産)の範囲が、自由財産となる金銭の範囲を標準的な世帯の必要生計費の3カ月分に拡張されました。また、裁判による自由財産の範囲の拡張も可能になりました。
破産手続・免責手続が一体化された
破産手続開始の申立があれば、原則として免責許可の申立もあったものとみなして、破産手続と免責手続とを一体化されました。これにより破産手続が簡便になりました。
非免責債権が拡張された
裁判所から免責決定を受けても、「支払義務が残る」特別な債権(非免責債権)に、損害賠償請求権、破産者が養育者又は扶養義務者として負担すべき費用に関する債権が追加されました。これにより、たとえ自己破産で免責を受けても、例えば離婚した相手に払うべき子供の養育費等は依然として、支払義務が残ります。
再度、免責が受けられる制限期間が短縮された
破産法が改正される前は、一度、裁判所から免責を受けると、以降10年間は再び免責決定を受けられませんでした。改正破産法では、この期間が7年間に短縮されました。
自由財産の範囲が拡張された
新破産法では、自由財産となる現金の範囲をさらに拡大しました。現金では、99万円までが自由財産となったのです。(破産法34条3項1号)。現金については、従来は21万円までが自由財産とされていました。その後、2004年4月1日から、民事執行法と同施行令の改正によって、範囲が66万円までに拡大しました。今回の破産法改正によって、さらに多くの現金を手元に残しても、自己破産が可能になったのです。しかし、この「自由財産」は、あくまでも現金のみです。預貯金や生命保険解約返戻金等は含まれません。
換価等をしない財産
個人である債務者が有する次の1から10までの財産については原則として、
破産手続における換価または取立てをしない。
新破産法では、現金99万円のほかにも、差押禁止財産を自由財産としています(破産法34条3項2号)。また、民事執行法131条は、以下を差押禁止財産としています。
債務整理手続の1つ、自己破産を選択すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
自己破産にはどんなデメリットがあるのでしょうか。
自己破産手続・免責決定後に収入を得たとしても、
借金の返済義務ななく収入を自由に使うことができます。
自己破産をしても、通常の生活を送るために必要な家財道具や日用品を手放す必要はありません。
ただし、本籍地の破産者名簿に記載されます。破産者名簿は、身分証明書を市区町村役場が発行するための資料で、一般の人は見ることができません。また、免責決定がなされれば抹消されます。
借金をした人が、自己破産手続をしたからという理由で勤務先を解雇することは禁止されています。勤務先から借入がなければ、自己破産手続をしたことが勤務先に知られることもありません。
自己破産でほとんどの場合は同時廃止事件になります。同時廃止事件であれば、
自己破産前と変わらずに、海外旅行にも行くことができますし、引越も可能です。
しかし、破産手続が管財人事件なった場合は、破産手続が終了するまでは、裁判所の許可なく引越や長期旅行にはいけません。破産手続が管材事件になった場合でも、破産手続が終了すれば、この制限もなくなり、自由に引越や海外旅行にも行けるようになります。
自己破産したことを、勤務先や自宅周囲の人に知られることはありません。
自己破産をしたからと言って、自分の家族(子供)の就職・結婚に悪影響はありません。
破産手続をした日時と住所・氏名、手続きをした裁判所等が官報に記載されます。
ただし、官報を一般の人が見ることは、ほとんどありません。
自己破産手続で管財事件になる事はめったにありません。
たとえ、管財事件になった場合でも免責が確定するとこの制限も解かれます。
自己破産すると、自分名義の住宅や店舗等不動産は手放さなくてはなりません。
自己破産すると、本籍地の市町村の破産者名簿に記載されます。
弁護士、公認会計士、司法書士、行政書士、税理士等の資格がある場合は、自己破産によって資格制限を受けます。さらに、後見人、保証人、遺言執行者にもなれません。また、株式会社の取締役、監査役については破産が退任事由となります。合名会社、合資会社の社員にも就くことができません。しかし、免責後、復権が為されれば、これらの資格制限も解けます。
各機関の信用情報に登録されるため、自己破産手続後7年~10年間は自分名義で新しく借金をしたり、クレジットカードは作れなくなります。