個人再生は住宅を保有したままで借金を大幅減額、原則3年で返済

個人再生は住宅を手放さず、借金総額を大きく減らせる

個人再生とは、2001年に始まった比較的新しい債務整理制度であり、
法人の債務整理手続である民事再生を個人に適用した制度です。

個人再生の特徴は、何といってもマイホームを保有したまま、大きく借金総額を圧縮できる点にあります。債務者の居住地域や家族構成、年収等の諸条件から3年間をめどに返済可能な金額を試算します。借金減額・借金返済額の試算額を「再生計画」としてまとめます。裁判所が再生計画を認め、そして再生計画通りに借金返済がされると再生計画に入らなかった借金返済は免除されます。

個人再生手続は、債務整理の専門家である弁護士へ借金相談を

個人再生手続は、まず個人再生の中で複数ある手続の選択からしなくてはなりません。個人再生は債務者一人で進めるのはほぼ不可能です。個人再生を希望する場合は、借金相談・借金整理を債務整理の専門家である弁護士へ借金相談をしましょう。

個人再生手続の流れ

  1. 個人再生手続を債務整理の専門家、弁護士へ相談

  2. 個人再生手続を、債務整理の専門家、弁護士が受任

    各債権者へ受任通知を送付

  3. 債権調査

    各債権者から過去の取引履歴を取り寄せ、利息制限法による引き直し計算を行います。

    過払い金が発生している場合は、過払い金返還請求を行って、債務額を確定します。

  4. 個人再生申立書類作成

    債権調査を進めながら、裁判所に提出する個人再生申立書類作成を行います。

  5. 個人再生を裁判所へ申立

    債務者の住所地を管轄する地方裁判所が管轄になります。個人再生手続の申立を行います。

  6. 個人再生委員選任

    裁判所から個人再生委員が選任されます。

    個人再生申立人と個人再生委員との面接が行なわれます。

  7. 再生手続開始決定

    裁判所は個人再生委員の意見を聴取します。その後、「再生手続開始決定」が裁判所から出されます。この時点で、債権者は強制執行ができなくなります。

  8. 債権額が確定される

    債権者から届け出された債権額や債権額認否一覧によって、債権額が確定されます。

  9. 再生計画案提出

  10. 書面決議(小規模個人再生)、債権者への意見聴取(給与所得者再生)

  11. 再生計画認可決定

    裁判所は、提出された再生計画を検討し、再生計画通りに弁済が可能であると判断されると「再生計画認可決定」がおります。

  12. 再生計画認可決定確定

    裁判所から、個人再生認可決定がおりた後、期間内に(再生計画認可決定後1週間が経過しても)即時抗告がなされないと、再生計画が確定します。申立をしてから認可決定が確定されるまでは、おおよそ6縲怩Vカ月ほどの期間がかかります。

個人再生には2種類ある

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の個人再生手続があります。

小規模個人再生と給与所得者等再生では、利用できる人の条件が異なっています。

個人再生をしたいなら、まず、自分が小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらが適しているのか? を見極めなくてはなりません。個人再生手続の選択を最初に間違うと大変です。個人再生をしたいなら、やはり債務整理・借金整理の専門家である弁護士へ、借金返済相談が必要です。

小規模個人再生とは

小規模個人再生とは、下記の条件にあてはまる人が利用できる個人再生手続です。

  1. 将来にわたって継続的な収入の見込みがある個人である
  2. 無担保の負債が5,000万円以下である

小規模個人再生手続では、個人再生手続以後の弁済額を最低弁済額基準と清算価値保障原則の2つの基準から算定します。小規模個人再生手続では、裁判所に提出した再生計画案に対する債権者の決議と裁判所の認可が必要になります。この際に債権者の異議が多い場合は、個人再生の申し立てが棄却されてしまう可能性があります。

最低弁済額基準とは

住宅ローンを除いた借金を引き直し計算し、その残高の総額から算出します。

利息制限法による引き直し計算後の債務総額 個人再生手続で返済する債務額
100万円以下 債務元本額の総額
100万円~500万円以下 100万円
500万円~1,500万円以下 借金総額の1/5
1,500万円~3,000万円以下 300万円
3,000万円~5,000円以下 借金総額の1/10

精算価値保障原則とは

精算価値保障原則とは、まず、債務者(借金相談をした人・借金問題を抱えている人)が所有する全財産を換金するといくらになるのか? を算出し債務者(借金相談をした人・借金問題を抱えている人)が、破産をした場合に債権者に配当できる金額以上を返済しなくてはならない、という原則です。

精算価値保障原則で計算される、
債務者(借金相談をした人・借金問題を抱えている人)の財産例

  • 自動車…査定価格
  • 生命保険を解約した場合の解約返戻金額
  • 預貯金
  • 積立金
  • 不動産売却査定額からローン残金を引いた差額(不動産を所有している場合)
  • 個人再生手続時点で、退職した場合に支給される退職金見込額の1/8相当額
  • 第三者に貸している金員がある場合は、債権の回収見込額
  • その他(評価額20万円以上の物品等)

最低弁済額基準と精算価値保障原則の運用例

個人再生をすると、どの程度借金返済が楽になるのか、債務整理手続の効果はどの程度あるのか?を具体的に見てみましょう。

たとえば、500万円の借金で悩む人が個人再生をした場合、最低弁済額基準で150万円まで借金減額ができたとしても、清算価値保障原則で、保有財産額(生命保険の解約返戻金や退職見込額、預貯金等)で300万円相当の財産を保有していると算定された場合。最低弁済額基準と精算価値保障原則を比較して、より金額が大きい300万円を返済しなくてはなりません。

こうやって決まった返済額について、3年間を目途に毎月分割で借金返済をしていく、ということになります。

給与所得者等再生とは

給与所得者等再生手続を利用できる人は、「給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある」人で、かつ「収入の変動の幅が小さいと見込まれる者であること」と規定されています。

給与所得者等再生手続は、会社員等、定期的な収入を安定的に得られる人を想定した債務整理手続です。ただし、給与の形態が歩合制であったり、業績給であったとしても、年収の変動幅がそれほど大きくない場合は、給与所得者等再生手続は可能です。

給与所得者等再生手続の特徴

個人再生手続の1つ、給与所得者等再生には以下の特長があります。

  • 債務者(個人再生・借金整理を希望する本人)の可処分所得の2年分以上を支払う必要がある
  • 給与所得者等再生手続は、小規模個人再生手続とは異なり、債権者決議はなされない
    (債権者には、議決権がない)
  • 給与所得者等再生手続は、小規模個人再生手続と比較して弁済額が多額になる傾向がある。
    付随して個人再生手続後でも、毎月の返済額が高額になる場合がある
  • 給与所得者等再生手続は、自営業では利用できない(パート・アルバイト・年金受給者であっても、給与所得者等再生手続を利用できる場合もある)

給与所得者等再生を利用できる人とは

個人再生手続の1つ、給与所得者等再生を利用できるのは下記にあてはまる人です。

  1. 給与所得者(サラリーマン・公務員等)であって、
    給与等の定期的・かつ、安定した収入がある人
  2. 2.の収入の変動幅が小さい人(目安…年収額で20%以上の収入の変動がないこと)

たとえ、サラリーマンであっても給与体系が完全歩合制であるなど、
収入変動幅が大きい場合は、給与所得者等再生手続はできないことになります。
(この場合は小規模個人再生手続を検討することになります)

給与所得者等再生手続後の弁済額はどのような計算で決まるのか

個人再生手続の1つ、給与所得者等再生で支払う金額は、
下記の1~3の中で、最も多い額になります。

  1. 債務総額の5分の1(最低100万円~最高300万)最低弁済額と言われる
  2. 債務者が保有している財産の合計金額
  3. 債権者の可処分所得の2年分(小規模個人再生と違い、上限がない)

一般的に言って、給与所得者等再生手続の弁済金額は、小規模個人再生弁済金額よりも高額になってしまいます。このため小規模個人再生手続を選択する人も多いようです。

給与所得者等再生手続の申立ができない場合とは

下記に該当する人は、個人再生の1つである給与所得者等再生手続の申立ができません。

「個人再生再申立制限」と言われます。

  1. 給与所得者等再生を遂行して免責された場合で、再生計画の認可確定の日から10年以内
  2. 個人再生手続後、ハードシップ免責が確定した場合で、
    再生計画認可確定の日から10年以内の申立
  3. 破産免責が確定した日から10年以内

給与所得者等再生手続と小規模個人再生手続の違い

  1. 債権者の拒否権

    小規模個人再生の場合は、裁判所が再生計画案を認める要件の1つに、「再生計画に同意しない再生債権者が再生債権者全員の未満に満たないこと」、かつ、「再生計画に同意しない債権者の債権額が、総債権額の1/2未満であること」があります。

    一方、給与所得者等再生では、再生計画案が承認されるかどうかは、
    裁判所の判断で決定します。債権者に拒否権はありません。

  2. 個人再生手続後の弁済金額

    給与所得者等再生では、最低弁済額基準があるため、
    小規模個人再生よりも個人再生手続後の弁済金額が大きくなってしまいます。

  3. 個人再生手続、再申立の制限

    給与所得者等再生では、給与所得者等再生の認可後、ハードシップ免責の認可後、以降7年間は、再度、給与所得者等再生の申立はできません。一方小規模個人再生では、このような再申立の制限がありませんので、再度、小規模個人再生を利用することが可能です。

個人再生のメリット・デメリット

個人再生手続をすると、どのようなメリットがあるのか。

個人再生手続をすると、どんなデメリットを受けるのか。

個人再生手続の申立前に個人再生のメリット・デメリットをよく理解して、個人再生手続を選択するかどうか、債務整理の専門家である弁護士と借金相談をしましょう。

個人再生のメリット

  • 個人再生は、任意整理、特定調停等の債務整理手続よりも(利息制限法による借金減額よりも)、大幅な借金減額が可能。
  • 個人再生では、保有している住宅を手放さずに、一般債務を大きく減らすことができる。
  • 個人再生は、自己破産と違い資格制限がない。
  • 個人再生は、自己破産と違い借金の理由が何であっても(ギャンブルや投資等でも)個人再生手続を利用できる。
  • 個人再生を裁判所へ申し立てると、債権者からの強制執行が止まる。
  • 個人再生を債務整理の専門家、弁護士へ依頼して、弁護士から各債権者へ受任通知が送付されると、消費者金融等の債権者からの取立・督促行為が止む。

個人再生のデメリット

  • 個人再生を利用するためには、定期的な収入があり、しかも収入の変動幅が小さくなければならないといった制限・条件がつく。誰でも個人再生手続を利用できるわけではない。
  • 個人再生の申立をすると、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまう。
  • 個人再生手続をすると、官報に掲載される。
  • 個人再生手続後、5~7年間はローンを組んだり、
    クレジットカードを作ることができなうくなる。
  • 個人再生手続は複雑で、裁判所とのやりとりも多いため、債務整理の専門家である弁護士への個人再生手続の依頼が必要。そのがため、債務整理の専門家への依頼費用がかかる。

今すぐお電話でご相談承ります。

このページのトップへ